TOP 就職活動のお役立ち情報 ブラック企業ランキング2023年版と選ばれる基準
2024.01.31

ブラック企業ランキング2023年版と選ばれる基準

ブラック企業は明確な定義をされていないのですが、一般的に労働環境が悪い企業のことをいいます。具体的には、以下のようなものが挙げられます。

  • 長時間労働(残業や休日出勤の常態化)
  • 低賃金
  • パワハラやセクハラなどのハラスメント
  • 採用時の条件と異なる労働内容
  • 解雇や雇い止めの乱用

ブラック企業ランキングに選ばれる企業は、上記の要素が含まれる傾向にあります。これにより、従業員の労働環境が悪化し、健康や生活に影響を及ぼす可能性が高まります。従って、ブラック企業に対する注意や改善が求められ、働く環境の向上が重要とされています。

ブラック企業ランキングに選ばれる特徴

ブラック企業は明確に定義されているわけではありません。ブラック企業という言葉は、主に長時間労働や低賃金、パワハラ・セクハラなどの労働環境や待遇が悪い企業を指すものとして使われます。しかし、これらの要素をすべて満たしていなくても、ブラック企業とみなされるケースもあることが特徴です。例えば次のようにさまざまな不満が蓄積することによって、ブラック企業とよばれる要因となっています。

  • 働き方に対する不満
  • 報酬面での不満
  • 業務内容に対する不満
  • 経営者への不満

働き方に対する不満

厚生労働省が直近1か月で残業時間が100時間を超えている場合、また2か月前から6か月前の残業時間が平均で80時間を超える場合を過労死ラインとしています。過労死ラインを超える場合や、近い残業時間となっている場合は従業員の不満は高まる傾向です。

発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できることを踏まえて判断すること。

引用:血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の

認定基準について(厚生労働省)

労働時間以外にも、不規則な勤務や規定の休日を取りにくい状況が続くと、従業員のストレスや不満が蓄積しやすくなります。これが続くと、企業のブラック企業としての評判が広まり、優秀な人材の確保がむずかしくなります。

報酬面での不満

報酬面での不満もブラック企業とよばれる要因の1つです。特に、昇給しなかったり適切な残業代が出なかったりなど報酬面でモチベーションの低下や将来への不安を招くことがあります。

そのため、従業員の安心感とワークライフバランスの確保は、企業の健全な成長と社会的な評価につながるため、企業には従業員の報酬に対する公正な評価と、法令を遵守した適切な労働条件を提供することが求められます。

業務内容に対する不満

自分のスキルや能力に合わない業務を任されることで、従業員はストレスを感じ、能力を発揮できなくなってしまいます。また、業務量や難易度が過剰で、心身に大きな負担をかけてしまうケースもあります。やりがいを感じられない業務を続けることは、従業員のモチベーションを低下させ、仕事に対する意欲を失わせてしまいます。

業務内容に対する不満は、従業員の健康や生活に大きな影響を与えます。また、社会全体の労働環境の悪化にもつながります。企業は従業員のスキルや能力、やりがい、倫理観などを考慮して、適切な業務内容を検討することが大切です。

経営者への不満

経営者の経営方針が従業員の利益や権利を無視した場合や、経営者の人事評価や処遇が不公平である場合は従業員は不満や不信感を抱きやすくなります。さらに、経営者の倫理観や価値観が従業員のそれと大きく異なる場合、従業員は仕事に対する意欲やモチベーションを失い、不安や不満を抱えやすくなります。

これらのことから、経営者への不満はブラック企業といわれる要因の1つです。就職活動の際には、経営者の人となりや経営方針などを、しっかりと確認することが重要です。経営者の人柄や経営方針に関する説明が不十分な場合は、面接などで詳しく聞くことも必要になります。

ブラック企業ランキング2023年

ブラック企業というと、規模の小さな企業だけに当てはまると考えられがちです。しかし、大企業であってもブラック企業は存在しています。ブラック企業といわれる大企業は、企業利益を優先することで従業員の労働環境や待遇を犠牲にしている傾向があります。

例えば、大企業であっても利益を追求するために、従業員に長時間労働を強制する場合があります。残業時間は過労死基準を超えることも珍しく、従業員の心身に大きな負担をかけています。また、管理職の権力が強く、パワハラやセクハラが横行するケースもあります。従業員は、上司の権力に逆らうことを恐れて、被害を我慢する場合があることが特徴です。

常駐従業員が1000人以上である大企業だけに絞ったブラック企業ランキング2023年は、次のような結果となりました。

JR東日本

JR東日本は、少子高齢化や労働人口の減少などにより、人手不足が深刻化しています。特に、技術者や運転士などの専門職の人手不足が顕著です。そのため、残業や休日出勤の増加、人員配置の偏りなど、従業員の負担が大きくなっています。人手不足が原因で負担が大きくなったことへの不満が多く集まりました。なかには、健康状態が悪いにもかかわらず出社せざるを得ない状況も見受けられました。さらに、コロナ禍以降賞与が上がらないことから待遇面での不満も集中した結果です。

「10年前と比べ技術センター人員はコロナ後は半分くらいの人員です。」

引用:東日本旅客鉄道株式会社(Y!しごとカタログ)

企業名 東日本旅客鉄道株式会社
従業員数 46,051人(2023年4月1日現在)
設立 1987年4月1日
代表者名 深澤祐二
URL https://www.jreast.co.jp/
業務内容 旅客鉄道事業など

日本生命保険

日本生命保険では、ノルマに対する不満が多く見られます。精神的にまいってしまったり、しつこく紹介を迫られたりなど営業方法について納得のいかない意見が多い状況です。このような状況が、営業スタッフの意欲低下やモチベーションの低下につながっていると指摘されています。

毎年2回の賞与が出ますが、3万円に届かないというような少額であることがあります。高額な賞与が出る場合もありますが、一部の従業員だけであり全体的に高額な賞与が出ているとは限りません。賞与の増額には、企業の業績や経営状況が大きく影響します。しかし、社員のモチベーションや働きやすさを向上させるためには、賞与の増額も重要な課題です。

企業名 日本生命保険相互会社
従業員数 70,714人(2023年3月31日現在)
設立 1889年7月4日
代表者名 清水 博
URL https://www.nissay.co.jp/
業務内容 生命保険業、付随業務

三井住友海上火災

三井住友海上火災では、残業が多いといった点で多くの不満があることが特徴です。従業員たちは、業務量の増大に伴い、長時間の労働が必要とされる状況に直面しています。その結果、仕事とプライベートのバランスが崩れ、健康面での悪影響を感じる者も増えています。

残業が常態化する中、従業員たちのワークライフバランスが損なわれ、労働環境への不満が募っています。特に、家庭や趣味、健康のための時間を確保することがむずかしくなり、これが生活全般に影響を及ぼしています。また、長時間の勤務が続くことで業務への集中力や生産性も低下し、効率的な業務遂行が難しくなっているとの声も挙がっています。

企業名 三井住友海上火災保険株式会社
従業員数 12,572人(2023年3月31日現在)
設立 1918年
代表者名 舩曵 真一郎
URL https://www.ms-ins.com/
業務内容 損害保険業など

みずほ銀行

みずほ銀行では、システム障害の問題が深刻化し、その影響から改善への積極的な取り組みが不足しています。この状況が原因で、優秀な従業員層が辞めるケースが増加しています。さらに、人材の確保にも課題があり、適切な人員配置が難しいため、退職者は増加の一途を辿っています。

退職する理由は、会社の将来性に疑問を持っていることがほとんどです。会社に改善する姿勢が見られないことから信頼性を失っている状態です。さらに、人材確保においても課題が生じ、組織全体の効果的な運営が難しくなっています。このままの状態が続けば、企業全体の競争力低下や業績の悪化が懸念される状態です。

企業名 株式会社みずほ銀行
従業員数 24,652人(2023年3月31日現在)
設立 2013年
代表者名 加藤 勝彦
URL https://www.mizuhobank.co.jp/retail/index.html
業務内容 預金業務、貸付業務など

日産自動車

日産自動車は、住宅補助や学習支援といった福利厚生が充実していないほか、副業もできないといった状況です。従業員は住居費や教育費の負担が大きく、生活が苦しくなる可能性があります。また、副業ができないため、収入を増やす手段が限られています。

また、日産自動車には、上司の顔色をうかがう文化や、年功序列制度といった、役所的な社風が残っています。そのため、社員の自主性や積極性が阻害され、企業の活力が失われている可能性があります。

役所的な社風を改善するためには、社員一人ひとりが主体的に行動できるように、社内環境を整えることが重要です。また、マネジメント層の意識改革や、社員教育なども必要となります。

企業名 日産自動車株式会社
従業員数 23,525人(2023年3月31日現在)
設立 1933年12月26日
代表者名 内田 誠
URL https://www.nissan.co.jp/
業務内容 自動車の製造、販売および関連事業

イオンリテール

高齢のパート社員が多いことからITに弱く、技術面で時代の流れについていけていない状況です。経営側で導入したことでも売り場の人間が把握しておらず、結果的に非効率になっています。

さらに、評価基準があいまいであるほか、上限線が見えることから昇給がほとんど見込めないといった状況では、パート社員のモチベーションが低下する可能性があります。そのため、離職率が高まるリスクがあることが現状です。

パート社員のITスキルの低さや、情報共有の遅れ、モチベーションの低下といった課題を抱えている場合、競争力を失うリスクがあります。

企業名 イオンリテール株式会社
従業員数 72,859人(2023年2月28日現在)
設立 2008年8月21日
代表者名 井出 武美
URL https://www.aeonretail.jp/
業務内容 総合小売業

モンテローザ

モンテローザは休日休暇がしっかりととれず、ワークライフバランスはほとんど保たれていせん。モンテローザは、飲食業界の特性上、残業や休日出勤が多く、社員のワークライフバランスが悪化しています。

また、基本的に体育会系の社風です。モンテローザは、体育会系の社風が根強く残っています。そのため、社員は上司の指示に従うことを重視し、自分の意見やアイデアを積極的に発信することが難しいという声があります。

企業名 株式会社モンテローザ
従業員数 1,948人(2023年3月31日現在)
設立 1983年5月23日
代表者名 大神 輝博
URL https://www.monteroza.co.jp/
業務内容 飲食事業を中心とする傘下子会社の経営管理

三菱電機

歴史のある大手企業にありがちな上司の顔色をうかがう文化が強いことから、効率的な経営ができないことがあります。さらに、体制をなかなか変えられないためことから、改善が見られません。そのため、時代の変化に対応した経営改革を進めることが難しく、競争力を失うリスクがあります。

また古くからの体制を変えられないことから、年功序列制度が残っており若く実績を残している従業員の給与が上がらない状況です。そのため、若くして実績を残している従業員の給与が上がらないなど、不公平感を抱く従業員が増える可能性があります。

企業名 三菱電機株式会社
従業員数 35,136人(2023年3月31日現在)
設立 1921年1月15日
代表者名 漆間 啓
URL https://www.mitsubishielectric.co.jp/
業務内容 インフラ、インダストリー、モビリティなど

大和ハウス工業

本社では改善しようとしていますが、現場でのハラスメントが多いことが現状です。その結果、若手の高い離職率につながっています。歴史ある大手企業では、本社では改善しようとする動きがあるものの、現場では依然としてハラスメントが根強く残っているケースが多くあります。

また、年々利益率や売り上げ重視の考え方に変わっていることから従業員の負担が増えています。長時間労働の是正や、残業や休日出勤の強制を禁止するなど、労働環境の改善を図ることが重要です。また、フレックスタイム制やテレワークの導入など、多様な働き方に対応できる制度を整えることも有効です。

企業名 大和ハウス工業株式会社
従業員数 16,093人(2023年3月31日現在)
設立 1955年4月5日
代表者名 芳井 敬一
URL https://www.daiwahouse.co.jp/
業務内容 建築事業、都市開発事業、海外事業など

まとめ

ブラック企業には明確な定義がなく、極端な長時間労働や低い賃金、労働環境の悪さなどさまざまな要因があります。これらに加えて、従業員の働き方や報酬面、業務内容、経営者などへの不満が蓄積することによって、ブラック企業とよばれる場合もあります。

ブラック企業ランキングに選んだ理由として、これらの不満がたまっている企業が多く含まれていることが特徴です。そのため、ブラック企業かどうかを判断するためには、以下のポイントを参考にすることが大切です。

  • 労働環境や待遇が悪い
  • 社会的責任や倫理観に欠けた経営をしている
  • 従業員の意見や要望を無視している

ブラック企業かどうかを判断するためには、ランキングを参考にしつつ、自分でもしっかりと調査することが求められます。

この記事の執筆者

ropro編集局-コラム編集担当

ropro編集局-コラム編集担当

ropro編集局は、企業に関する正確かつ客観的な情報をお届けするため、求職者に役立つコラムを提供しています。採用や就職に関するトピックを専門に扱い、皆さまのキャリア形成をサポートします。

一覧に戻る